「企業ではTwitterとFacebookはどちらを使う良いのか」という議論をよく耳にするが、TwitterとFacebookは性質が違うものなので、それぞれの性質を理解した上で、使い分けることが望ましい。
結論から言うとTwitterは「情報プラットフォーム」、Facebookは「コミュニケーションプラットフォーム」である。
■TwitterとFacebookのソーシャルグラフ
これらの違いは、それぞれが持っているソーシャルグラフから来る。
Twitterが、一方的に「Follow」できるのに対して、Facebookの「友達」申請は双方向に承認されないと成立しない。
Twitterは、相手が実際に知っている人であろうが、知らない人であろうが発言内容に興味があればFollowすることが出来る。つまりその人の発信する情報に興味があれば、誰でもその発言をFollowすることが出来る。
これに対してFacebookでは、相手から承認されると思わない限り「友達」申請はしない。リアルの世界で多少でも繋がりのある人とコミュニケーションをするために友だち申請をする。
このことから、Twitterでは発言内容そのもの、つまり情報が流通し、Facebookではコミュニケーションが活発になることが分かる。
■TwitterとFacebookの比較
これらを踏まえて、TwitterとFacebookの性質をいくつかの観点で比較してみた。
企業でTwitter、Facebookを利用する場合は併用し、Twitterで情報発信+情報収集をしながらFacebookへ誘導し、Facebookでコミュニケーションを深めるのが良い。
ここで、Twitterは、「情報発信」に利用することは容易に想像がつくが、「情報収集」についても非常に有用なツールであることに注目したい。
Facebookでは、情報の流通範囲は発信者の友達のつながりの範囲内を出にくいが、Twitterでの発言はすべてオープンになるため、すべて検索対象にできる。
ある程度の企業であれば、毎日のように消費者が自社ブランドに関するつぶやきをしており、企業はその全てを検索することができる。
これらのつぶやきは、これまでグループインタビューなどで集めていた一部のコアユーザーの発言ではない。消費者が何の拘束もない中で、自然に発言したもので、これまでは聞くことの出来なかった自社に関するうわさ話、自社サービスに対するうわさ話を聞くことが出来るのである。
これらのつぶやきは、マーケティング、ブランディング、人材採用、カスタマーサポートなどに有効活用することが出来るだろう。
■日本でのTwitterとFacebookの役割
これまでTwitterは、日本ではコミュニケーションツールとして利用しているユーザーが多かったが、Twitterにコミュニケーションを求めているユーザーは、少しずつFacebookへ移行していると考えられる。
ここ数ヶ月のTwitterとFacebookのアクティブユーザー数の推移はそれを表していると言える。
出所:in the looop「mixi, Twitter, Facebook 2011年6月最新ニールセン調査、Facebook利用者872万人へ」
アメリカでは、そもそもFacebookがユーザーを集めている中で、Twitterが後発でユーザー数を伸ばしたため、日本のようにTwitterの方がユーザー数が多いという状況は起きなかった。
今後は、日本でも「情報プラットフォーム」としてのTwitterと「コミュニケーションプラットフォーム」としてのFacebookという住み分けが進み、Twitterのアクティブユーザー数をFacebookが抜くという構図が予想される。